クロルピリホスの毒性があまりにも高いため、防蟻処理業者でも体を壊す人が増え、1992年ごろからは「合成ピレスロイド」が使用されはじめました。合成ピレスロイドは、除虫菊の殺虫成分を真似て化学合成したピレスロイド系薬剤で、現在は防蟻処理剤の4割を占めるとのデータもあります。家庭用殺虫剤の成分がほとんどこれです。ピレスロイド化合物にはS-421(有機塩素系)が含まれる薬剤もあり、要注意物質との指摘もあります。
「シロアリに強力に効く薬剤は、人間にも効く」ことが指摘されてきました。
「ホルムアルデヒド」より、はるかに毒性の高い化学物質を防蟻処理剤として使用しているのです。
新築の場合、営業マンがよく言うのは、
「防蟻処理剤の臭いは大丈夫です。防蟻防腐剤は建築中の比較的初期に施工されるため、その臭気は建築工事完了時には、ほぼ終息していますから。」
というものですね。
しかし、防蟻処理剤散布は新築時だけに使用するのではなく、ご家族が住み始めてから5年後には再塗布の時期がやってきます。新築時は、化学物質を土台・柱に塗布してから、ある程度の期間後に入居されますので、放出濃度が下がりますが、入居後数年経ってからの防蟻処理(薬剤の再塗布)時は、ご家族が健康に暮らしている、その真下で薬剤を塗布するのですから、その薬剤によって健康に被害がでることがあります。
そして、このような被害が発生するのです。
防蟻剤を散布し、床下換気扇を設置した。屋内は薬品臭がひどく、母は翌月には立ち上がれない状態で、現在も体中が痛くてだるいと言っている。薬剤の毒性と床下の土壌汚染の状況を知りたい。
(2001年 70歳代女性
みなさんの中にも、シロアリ駆除業者に依頼して床下を防蟻処理(化学物質の再塗布)をおこなった直後に「目がチカチカする。喉が痛い。頭痛がおさまらない」経験を持っている方はいらっしゃると思います。これが、今問題になっている「防蟻処理剤(化学物質)によるシックハウス」です。
これは絶対に解決しなければいけない問題です。
「こんなに有害な物質なら、防蟻処理はやらなくても良いのでは?」
とお思いになる方も多いはずです。
そうです。化学物質による防蟻処理はしない方が良いのです。
しかし、一方では、「防蟻処理をしないとシロアリに大切な土台・柱が食べられてしまうのでは・・・」とご不安にお思いになる方もいらっしゃいます。
そこで、最近導入されてきたのが「自然素材による防蟻処理」です。代表的な物質は「ヒバ油」「木酢液」です。ヒバ油は、シロアリに強い樹種である青森ヒバから抽出したものです。また、木酢液は炭を作る時にできる液です。虫を寄せ付けない効果があります。
当然のことながら、大量に生産される化学物質より価格が高いのですが、家族の健康・医療費のことを考えれば、これを採用するご家庭が増えているのもうなずけます。 |